2015年11月20日金曜日

清水研雑誌会11/20

13C代謝フラックス解析は細胞内の代謝流束を決定できる強力な解析手法です。清水研のコア技術の1つで細胞内代謝を理解し、利用するための有用な知見をもたらしてくれます。これまでの13C代謝フラックス解析は、細胞内の定常状態を仮定するため、解析できる対象が変化しない、イメージで言うとずっと同じエンジン回転数、速度でクルーズしている自動車のような状態である必要がありました。定常状態でしか測れないため、定常状態の現象しか調べることができません。そこでか定常状態以外の代謝フラックスを測定する、上り坂にさしかかり、エンジン回転数や速度が変化するような動的な状態を測定する技術が求められています。今日の雑誌会で前田君(M1)が紹介してくれたMartinez et al.Dynamic metabolic flux analysis using B-splines to study the effects of temperature shift on CHO cell metabolism. Metabolic Engineering Communications. 2,46-57はそんな試みの一つです。細胞内外の物質収支の経時データをBスプラインカーブで近似して、細胞内の代謝物蓄積量の経時変化がゼロになるように、細胞内部のフラックス分布をバランスをとりながら解いていきます。本法はいわゆるDeterminedなシステムしか解析できませんが、これと13C標識を組み合わせたらUnderminedなシステムの解析もできるようになるかもしれませんね。