2019年10月5日土曜日

Skylineの使い方 その8 リストを編集例

Skylineの使い方 その8 リストを編集例



ペプチド設定->修飾タブ
では内部標準に用いるペプチドの標識法を変更できます。でも画面上には、label:13Cしか表示されていない。あるいはなにも表示されていないことがあります。
Skylineには、様々な設定に「リストを編集」という機能が用意されており、
・裏に設定をたくさん用意してある。ユーザーも設定を追加できる。
・ダイアログに表示するリストには、そのなか選んだものだけ。
という機能を提供しています。

1.「ペプチド設定->修飾タブ」でlabel:13Cしか選べない=>すぐ右横の「リストを編集」。


2.「同位体修飾を編集」ダイアログが出るので、「追加」



3.「同位体修飾を編集」の「名前」の右端の下矢印をクリック



4.選択可能な修飾が表示されるので Label: 15N を選択



5. Label: 15Nがリストに追加されたので、「OK」



5. Label: 15Nがリストに追加されたので選択する。





Skylineの使い方 その7 結果の書き出し

Skylineの使い方 その7 結果の書き出し


内部標準に安定同位体を用いて対象ペプチドを相対定量する。下記の図だと青が安定同位体標識ペプチド、赤が非標識ペプチド。この相対定量面積値を書き出してみる。

ファイル(F)

エクスポート(E)

レポート(R)

ペプチド比率結果

プレビュー(P) で 結果の確認



エクスポート ボタンでcsvファイルを出力できる。エクセルに読み込む。F列のデータが相対面積値。文字化け理由は不明



あとは各自頑張れ。


Skylineの使い方 その6 測定データの読み込み

Skylineの使い方 その6 測定データの読み込み


Skylineでは大手ベンダーの測定データファイルを直接読み込めます

基本的な考え方は
1.タンパク、ペプチド、MRMを設定済みのSkylineドキュメントを作成する。
2.設定済みのSkylineドキュメントに測定データファイルをインポートする。設定したMRMが測定データファイルにある場合、MRMクロマトグラムが表示される。

1.タンパク、ペプチド、MRMを設定済みのSkylineドキュメントを開く


2.ファイル→インポート→結果で「結果をインポート」ダイアログを開く
下記の設定にしておく(細かい芸ができるようだが、無視)


3.読み込むファイルを複数選択する。


4.共通の文字列を削除したい場合はここで設定(便利)


5.データファイルの読み込み。少し時間がかかる。

6.うまく読み込まれるとクロマトグラムが表示される。



Skylineの使い方 その5 LabSolutionとの連携

Skylineの使い方 5 LabSolutionとの連携



1.【Skylineの処理】
ファイル→エクスポート→トランジションリスト…

「トラジションリストをエクスポート」ダイアログの考え方

  • シングルメソッド←全部ひっくるめて出力
  • タンパク質毎の一つのメソッド←タンパク質毎に分割
  • 複数メソッド←たとえは500チャンネルごとに分割。その際に「タンパク質を無視」するとあるタンパク質のチャンネルが2つに分割してもよい。

最大トランジション数 = 500 ←例えばdwell time + pause time = 2msec で1 secに1点データを取りたい場合 1000/2 = 500 が最大トランジション数

メソッド = 1 ←生成するメソッドファイル数を教えてくれる。
最適化 = 衝突エネルギーにしたほうがいい。
メソッドタイプ = 標準
実行時間(分)(D) = 90 ←LC側に合わせる

 OK でファイルが生成する。



2.【LabSolutionの処理】
LabSolutionの処理の考え方
既存のLCMSメソッドファイル(.lcm)に「化合物のインポート」でMRMの設定のみを読み込む。

・分析編集を開く
・既存のLCMSメソッドファイルを読み込む
・メソッドー>化合物のインポート Skylineから出力されたファイルを読み込む
・メソッドファイルに別名をつけて保存
・「ループタイム」等で調製


3.Q1ResolutionとQ3Resolution の一括変更
Shimadzu8060ではQ1とQ3の分解能を両方Lowすると感度が10倍向上します。夾雑物ピークが増えるが気にしない。化合物のインポート前に
・Skylineから出力されたファイルをエクセルで開く
・Q1ResolutionとQ3Resolutionを1から2に変更
・セーブしてLabSolutionに読み込む。




Skylineの使い方 その4 定量プロテオーム解析用のメソッド作成

定量プロテオーム解析用のメソッド作成


Skylineは定量プロテオーム解析用のソフトウェアです。複数のタンパク質用のMRMメソッドを並列したメソッドを作成できます。今回はテキストファイルから定量プロテオーム解析用メソッド作成法を紹介します。
1.まずSkylineを起動し、「空のドキュメント」を開きます。


2.次に下記のようなタブ区切りのテキストファイルを用意します。こういうデータは論文のサプリメントデータとかについています。
タンパク名、ペプチド、Q1 m/z, Q3 m/zの順番です(どうもこの順番は適当でもSkylineがよきにはからってくれるようだ)。

serB LAGSLTAR 394.735425944185 347.20429299249
serB LAGSLTAR 394.735425944185 460.28835696962
serB LAGSLTAR 394.735425944185 675.37896287917
serB LAGSLTAR 394.735425944185 604.34184909446
hisB FGFVLPMDECLAR 777.876353174435 1104.51817585726
hisB FGFVLPMDECLAR 777.876353174435 519.27132700649
hisB FGFVLPMDECLAR 777.876353174435 991.43411188013
hisB FGFVLPMDECLAR 777.876353174435 1203.58658977025
hisB LAFEPGVIPELLK 713.42177643763 965.60354308039
hisB LAFEPGVIPELLK 713.42177643763 1094.64613616836
hisB LAFEPGVIPELLK 713.42177643763 868.55077923154
hisB LAFEPGVIPELLK 713.42177643763 1241.71455008135
hisB VEGDTLPSSK 516.764577305065 804.4103225771
hisB VEGDTLPSSK 516.764577305065 418.23017338716
hisB VEGDTLPSSK 516.764577305065 632.3619158327
hisB VEGDTLPSSK 516.764577305065 531.31423736429
pgk SLYEADLVDEAK 676.833188179465 989.47913041291
pgk SLYEADLVDEAK 676.833188179465 789.39942354023
pgk SLYEADLVDEAK 676.833188179465 860.43653732494
pgk SLYEADLVDEAK 676.833188179465 1152.54245894546
pgk VLPAVAMLEER 614.34247202944 847.43476350313
pgk VLPAVAMLEER 614.34247202944 748.36634959014
pgk VLPAVAMLEER 614.34247202944 1015.52464113669
pgk VLPAVAMLEER 614.34247202944 677.32923580543


3.テキストをクリップボードにコピーします。
4.左上青枠をクリックし、ペーストします(貼り付けて後複数個貼り付けても1つのメソッドで行ける)。


5.うまくいくと、ターゲット欄にタンパク質が登録されます。


6. 設定パラメータについては研究目的により異なるため、その都度入力します。

6-1.使用するペプチドの長さの範囲を指定する。

設定(S) →ペプチド設定→フィルタ・・・
設定例:
最小長(M):7 - 最大長(X):30、
末端AAを排除(N):25 ←今回は意味なし
□潜在的に不規則な終端を排除 ←空白のまま
以下を含むペプチドを排除
■Cys ←これらのアミノ酸が含まれるペプチドは定量に向いていないといわれています。
□Met
□His

■全ての一致ペプチドを自動選択(A)





6-2.修飾の設定

設定(S) →ペプチド設定→修飾・・・
■Carbamidomethyl(C)←還元アルキル化した場合はチェック
最大修飾(M)=3←よくわからない
最大ニュートラルロス(N)=1

同位体標識タイプ(T)=heavy ←安定同位体標識内部標準を用いる場合ここで設定
同位体修飾(I )
□label:15N 15N …フル15N標識の時
□label:13C 13C …フル13C標識の時
変更時は別記事の「Skyline_15N→13C_ペプチド設定_変更の方法」へ

内部標準タイプ(N)=heavy ←安定同位体標識内部標準を用いる場合heavyにしておく。
 


6-3.トランジションの設定

設定(S) →トランジションの設定→フィルタタブ
  プリカーサ電荷(P)=2 ←2価と3価の場合は"2,3"とする。
    イオン電荷(I)=1
    イオンタイプ(T)=y ←yとb系列のときは"y,b"とする。
    開始点(F)=イオン1 ←Q3を選ぶ基準
    終了点(O)=最後のイオン

 特別なイオン
 ■N-terminal to Proline N末がプロリンになるペプチドは無視

    プリカーサm/z排除ウインドウ [            ] m/z   ←空白のまま

    ■一致する全てトラジションを自動選択(A)

7.ファイル名を付け、保存する。←… 解析メソッド出来上がり
   <例>KT0031_Normal3-empty