このところ解説書が複数出るなど吉本隆明がプチブームである。また、最近オーディブルに吉本隆明の講演録音があることを発見し、今回、「青春としての漱石「坊ちゃん」「虞美人草」「三四郎」」を聴いた。なぜ、今、吉本なのか、という意味でさまざまな問題をはらんだ非常に興味深い講演なのであるが、吉本が講演の主題に据えていたのは「女性」と「三角関係」である。坊ちゃんの「清」が漱石の理想とする女性像=母であるというところから話が始り、虞美人草において清と同じ役割の糸子と、それとは対照的な新しい(近代の)女性として藤野が登場し、主人公の男+ホモソーシャル的な関係にある男+女という三角関係のひな形ができる。三四郎では主人公+野々宮+美禰子へと三角関係が展開する。ここまでの説明の後、吉本は、漱石の作品で甘酸っぱい三角関係の話は三四郎までであり、以降の「それから」「門」「こころ」などの三角関係は、日本における三角関係の本質的な悲劇性の話になると論を進める。近代(的な恋愛)を日本に持ってくると、日本の土着的な家族、師弟関係+日本近代化の同志であるホモソーシャル的な男同士の関係と齟齬をきたし、三角関係がのっぴきならないところまで進むと3人とも社会的に抹殺され、最後は自殺するしかないという問題に漱石は取り組んだと述べる。また漱石から芥川龍之介につながる文学者の山脈があり、そこに連なる3人目はやはり小林秀雄であり、実際にその三角関係をやっちゃったという点を指摘した後、では現在その山脈に連なっているといえる文学者は見出すことができない。として話を閉めていた。
フーンと思いながら楽しく聴きつつ思い出したのが映画「Love Letter」と「Last Letter」の三角関係、とくに松たか子演じる岸辺野裕里の役割である。吉本のこの講演は1992年だそうなので、吉本は映画「Love Letter」(1995年)を観ていないのは間違いない。大変もやもやしたので、Geminiに聞いてみたのが以下である。
なかなか面白い考察が行われているが、AIは結局、質問された内容をなんかすごい感じに言い換えてしまうヨイショのプロなんだなと思いました。「坊ちゃん」の赤シャツがいう「ターナーの絵」ですな。なにはともあれ、松たか子がアウフヘーベンされて天宇受売命(アメノウズメ)」にされてしまっております。