2024年12月6日金曜日

島耕作を最新話まで全部読んでみた。

マガポケ(少年マガジン公式無料漫画アプリ)の無料枠をつかって島耕作を読んだ。課長島耕作から始めて、毎日数話ずつ読みすすめた。島耕作の順調な出世にあわせて、部長、取締役、常務、専務、社長、会長、相談役、社外取締役へと読み進め、昨日、最新話(1018話)に追いつくことができた。私は会社勤めをしたことがないので、大企業サラリーマンの世界を垣間見れたのは大変良かった。島耕作は1947年9月9日生まれの団塊の世代であり、高度成長期に青春を送り、30-40代にバブル期を迎え、50代になるころにバブルがはじけた後、平成不況期のなか会長まで出世して、、という経歴を経ている。島耕作は電機メーカーに勤め、営業、広告畑を歩み、カーレースチームのスポンサーになったり、子会社に出向してワインの輸入をしたり、レコード会社にいったり大変バブリーな仕事をしてきた。役員になってからはアメリカの映画会社を買収したり、中国に行ったりして、実績を積んで最後は社長になった。全体として、当然ながらこれはサラリーマンのおとぎ話であり、異動により新たな業界や環境に行く=>女性に助けられる。というサイクルの繰り返しである。このため、読み進めていくといろんな業界のうんちくを学べるガイドブックとしても読める。一方、役員、社長になってからは、女性に助けられるという要素が大幅に縮小し、社会情勢が変化する=>島耕作が現地に行って勉強する=>対応する。というサイクルとなり、最新のカタカナワードとうんちくをエグゼクティブに供給する読み物としての完成度を上げている。一方、傍から見ていると、右往左往しながら高度成長期のイノベーションの貯金を食いつぶしているだけ、のようにも見える。さらに、島耕作の仕事の中で新しいイノベーションを産むための取り組み、のようなものはまったく描かれていないし、そういう発言もほとんどない。これは、おとぎ話として面白くないのであえて描かれれいない、のだと思うが、ここまできれいにないと、アイデアがないことに直面することを避けたい潜在的な願望があるようにも見える。よそから来たアイデアにいち早く適応するのはうまいし、敵を作らず女性にも男性にもモテるので出世するが、アイデアを出して状況を作るタイプではない。サラリーマンである。もしこれが、団塊の世代のメンタリティーをある程度代表するとしたら、島耕作が役員となった90年代後半から日本の経済の調子が悪くなった、というのは、偶然の一致ではないのかもしれないと思った。


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