2015年4月10日金曜日

ノンターゲット分析用ピークピッキングソフトウェア性能比較

ノンターゲットメタボローム分析では、ピークピッキング、データの整列化を行うための特殊なソフトウェアが必要になります。
Coble et al.Comparative evaluation of preprocessing freeware on chromatography/mass spectrometry data for signature discovery.J Chromatogr A. 2014;1358:155-64. は、Metalign, MZmine, SpectConnect, XCMSという、4種のフリーで使えるピークピッキングソフトウェアの性能を比較し、検出できたピークの割合がGC-MSのデータで、Metalign 83%, MZmine 60%, SpectConnect 47%, XCMS 41%、LC-MSのデータでMetalign 80%, MZmine 35%, XCMS 45%と、Metalignが圧勝だったことを報告しています。8年近くもやもやしていた点がすっきりしてうれしい限りです。一方、ソフトウェアの顔ぶれに8年間あまり変化がなかったようなので、この分野がやや停滞していたのかなと思うとちょっと残念な気もします。また、結果の解析から単独のソフトウェアでは見落としがあり得ある。と議論しています。バイオマーカーの探索を行う場合は、同じデータセットを複数のソフトウェアを用いて解析することが重要なようです。

さらに Niu et al. の Comparative evaluation of eight software programs for alignment of gas chromatography-mass spectrometry chromatograms in metabolomics experiments. J Chromatogr A. 2014;1374:199-206. では、GC-MSのデータを用いて、SpectConnect, MetaboliteDetector 2.01a, MetAlign 041012, MZmine 2.0, TagFinder 04, XCMS Online 1.21.01, MeltDB, GAVINの8種のソフトウェアを比較して、MetaboliteDetector 2.01aとMetAlign 041012が一番良かったと結論しています。やはりMetAlignは見込んだ通り、かなり根性があるみたいですね。

※MetaboliteDetectorは本家がリンク切れです。開発止まっちゃったんでしょうか?

ちなみに同様の比較を商用ソフトでおこなったRaflei et al. Comparison of peak-picking workflows for untargeted liquid chromatography/high-resolution mass spectrometry metabolomics data analysis. Rapid Commun Mass Spectrom 2015;29(1):119-27では、同一のデータセットを4種のソフト Peakview, Markerview, MetabolitePilot, XCMS Onlineで処理したところ、4つすべてで共通して検出できたのは全体のたった7%だったという衝撃の結果を報告しています。この結果から、一つのソフトウェアでのみ検出されたピークはFalse positiveである可能性が高いので、複数のソフトウェアで共通して検出されるピークを信用するべきである。とCoble et al.とはことなる結論に達しております。
ノンターゲット分析のニーズが年々高まり、ユーザーが増えてきたおかげで、ピークピッキングソフトウェアの比較検討もおこなわれるようになってきたんだと思われます。ただ、結論が混乱しているように、ピークピッキングソフトウェアには、まだまだ改良の余地が多く残されています。何かもう一つブレークスルーが足りないんですよね。しかし、最近になってProgenesis QIのようなかなり本気の市販ソフトも現れるなと、ピークピッキングソフトウェア群雄割拠の時代が近づいているようです。今後の動向と進展に期待大です。
だれかProgenesis QIとMetAlignの比較をしてくれないかな。。

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