2015年5月22日金曜日

ノンターゲットメタボローム分析の課題その9 QC法で補正ができるMetabolite featureの範囲

 QC法は、実サンプルを標準物質として外部検量線を引き、測定データ中のMetabolite featureの強度値を補正する手段です。QC法で補正できるのは、単一のスタディ内に限ると、そのスタディ用に作成したpooled QCサンプルから検出可能なMetabolite featureということになります。したがって、一部のサンプルにしか含まれないマイナーな代謝物はpooled QCサンプルの作成時に大希釈されてしまうため、pooled QCサンプルから検出できない可能性があります。つまりQC法とはノンターゲット分析で検出可能な全Metabolite featureの補正を保証するものでは、そもそもないんだという点に注意しましょう。
 したがって、global QCを用いる大規模な解析で、複数のスタディから得たデータを補正する場合も、global QCサンプルから検出可能なMetabolite featureだけが、補正の対象になります。さらに複数の研究室で取得されたデータを統合する。というようなケースでは、同一のglobal QCで全分析を補正することが困難になると思われます(大量のglobal QCを用意し、全研究室での共有が必要となるため)。たとえば、各研究室で異なるglobal QCを用い、さらに上位のmaster QCを設定して補正を行うというような事態が起こりえるだろう。このとき、QC法で統合可能なのは、当然、master QCおよび全研究室のglobal QCで「共通して」検出可能なMetabolite featureとなります。たとえば、ある1研究室が、極端な組成を持つglobal QCを用いた場合、統合可能なMetabolite featureの数が大きく減少することになると予想されます。このような事態を避けるためにも、各研究室で用意するglobal QC は、極力標準的な組成を持つことが望ましいといえるでしょう。つまり、QC法の重要点は、いいQCサンプルを確保するかにかかっているといえます。でもどうしたら一番いいのかはまだわかっていません。

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