2015年6月13日土曜日

ノンターゲットメタボローム分析の課題その11 Metabolite featureの強度値にかんする問題点のまとめ

 LCMSをもちいたノンターゲット型のメタボローム分析を行なうとします。QC法で強度補正を行なうには、QCサンプルを作成する必要があります。どうやら、QCサンプルの設定がQC法の成否を分ける鍵になりそうです。

  • 1つのスタディ内でQC法で正確に補正可能なMetabolite featureとは、各スタディごとに作成するpooled QCから比較的高強度に検出可能なものに限らる。
  • あるスタディを行い、データ処理を行った結果、6000個のMetabolite featureが検出されたとする(全Metabolite featureとよぶ)。これは、少数、あるいは1サンプルからのみ検出されるような、レアなMetabolite featureもすべて含んでいる。
  • pooledQCを作成するとき、レアなMetabolite featureは大希釈されてしまうため検出限界以下になる場合もあり得る。
  • このスタディ用に作成したpooled QCから5950個のMetabolite featureが検出された場合、残り50個のMetabolite featureの強度値補正ができないことになる。
  • さらに、レアなMetabolite featureの割合が多く。pooled QCから3000個のMetabolite featureしか検出できなかった場合、残り3000個分のデータをムダになる。これを避けるには、pooled QC の作成法を工夫するか、QC法以外の強度値補正法が必要となる。
  • この見極めを行うためにも、血清、血漿、尿サンプルについて、1スタディ内のサンプル間でMetabolite feature強度にどの程度ばらつきがあるのか、をまず検討するべきである。
  • 研究室内で大規模統合解析を行う場合は、global QCで比較的高強度に検出可能なものが補正の対象となる。上記と同じ理由で、global QCの設定を誤ると、強度値を補正可能なMetabolite featureの数が減少してしまう(網羅性が損なわれる)。
  • 各スタディから検出された全Metabolite featureのうち、global QCで補正可能なものの割合が、どのくらいになるのかを事前に検討し、極力カバレッジが広いglobal QCサンプルを利用するべきだろう。
  • さらに上位のmaster QCを設定する場合も、同様の検討が必要になる。


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